Chapter 2

それは異常なこと
ではない。

日本では豪雨が、
世界の各地では干ばつが。
それは地球温暖化
による異常なのか?

2022年8月、日本では北陸や東北で豪雨による大きな災害が発生しました。その一方で、世界の各地では記録的な猛暑に見舞われ、ドイツのドナウ川では約100年振りに低水位を記録。スペイン・カタルーニャ地方の干上がった貯水池からは水没していた教会が姿を現したり、中国の長江の川底から3体の仏像が姿を現したという報道もあり、同じ年に豪雨と干ばつの被害が報告されました。

その点を川瀬主任研究官は「異常気象を地球温暖化のせいにしたい気持ちはわかりますが、異常気象は地球温暖化がなくても起こります」と言いました。「偏西風の蛇行が大きい年に起こりやすい現象です。偏西風とは高緯度から中緯度を西から東に吹く上空の強い風で、蛇行して地球を回っていきます。蛇行の北側は暑くなったり乾燥したりします。逆に蛇行の南側は涼しくなったり雨が降ったりするのです。この蛇行は一定ではなく年によって変化します。蛇行が小さい年は世界的に異常気象も少ないとされていますが、2020年の夏は自然の変動で蛇行が大きくなりました。日本の場合は偏西風が南に蛇行したことによって豪雨が発生したと考えられています。干ばつに見舞われた地域は偏西風が大きく北へ蛇行し、猛暑になったことが原因と考えられています」と川瀬主任研究官は教えてくれました。

偏西風の蛇行

偏西風は、緯度がおおよそ35~65度の地域の上空を吹く強い西風。南北に蛇行しながら吹きます。地球が持つ自然の変動(ゆらぎ)によってこの蛇行の変動が大きくなると熱波の地域や雨が多く降る地域が現れるのです。

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