Chapter 2

水素エネルギーの
メリットは多彩
持続可能な未来の
切り札へ

環境・社会を変える
未来のエネルギーとして
水素エネルギー活用の
機運が高まっている。

「未来のエネルギーとして水素に注目が集まったのは、2016年のパリ協定以降です。CO2などの温室効果ガスを2050年までに実質ゼロにするには、これまでと同じエネルギーシステムでは到底無理とわかってきたからです」と教えてくれるのは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)燃料電池・水素室室長の大平英二さん。どうして水素だったのでしょうか?「水素は利用時にCO2を排出しないことに加え、再生可能エネルギーの利用やCO2の回収・貯蔵・利用技術との組み合わせにより、大幅な低炭素化を実現するポテンシャルを秘めているからです」と大平さんは教えてくれます。

ここで水素についてざっとおさらいしましょう。水素とは原子番号1の元素。元素記号は「H」です。宇宙で最も軽く、最もたくさん存在する物質です。水素はその名の通り「水の素」。水(H2O)に代表されるように、他の元素と結びつき、あらゆる種類の化合物として地球上にも豊富に存在します。また、水に電圧をかけると陽極側に酸素(O2)が、陰極側に水素(H2)が発生するように、身近な物質から簡単に得ることができるのも水素の大きな特長と言われています。 地球は水の惑星と呼ばれるように、豊富な水資源に恵まれています。これを直接水力として使うのではなく、水素を取り出してエネルギーとするのが「水素エネルギー」。しかしどうしてパリ協定以降、水素エネルギーに注目が集まったのでしょうか?「たとえば石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料は燃焼させるとCO2を発生しますが、水素はまったくCO2を排出しません。また貯蔵や運搬もでき、しかもエネルギー効率が驚くほど高く、ロケットの燃料に液化したH2が採用されているほどです」と大平さんは言います。

MizuMirai Vol.07

Special Feature特集②

水のチカラを
治めて、
安全な未来へ。

そして水のチカラを治める治水は、
地域づくり、国づくりでもあるというお話。

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