Chapter 1

地球温暖化の流れが
水素エネルギーを
加速させる

世界全体の温室効果ガスの
排出量実質ゼロへ。
人類はどのように実現するのか?

46億年前に誕生した地球は、ゆっくりとした変動を繰り返しながら、気候のバランスを保ち続けてきました。そのバランスが崩れだしたのは、イギリスで産業革命が始まった18世紀後半頃から。何億年も前の地層に閉じ込められていた石炭や石油を掘り出し、燃料として大量に燃やすようになりました。それが地球の気候を変えてしまうほどの深刻な事態を招くとは誰ひとり考えていなかったでしょう。

地球が暖かくなっていることに人々が気づき始めたのは、1970年代後半から80年代前半のこと。「地球温暖化」と呼ばれるこの現象の原因は、人間の産業活動によって二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが増えてきたことにあるとわかってきました。地球温暖化に関する初の世界会議、フィラハ会議が開かれたのは1985年。1992年には気候変動をもたらす温室効果ガスを削減することをめざして「国連気候変動枠組条約」が採択されました。1997年には日本の京都での会議で「京都議定書」が交わされ、2008年〜2012年の5年間で先進国のCO2削減目標を定めました。

さらに世界的な取り組みに進展したのが2016年のパリ協定。気温上昇を産業革命と比べて2℃未満、できれば1.5℃に抑えるという目標を掲げたのです。そして2018年のIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)では世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるためには、2050年頃に世界全体の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする必要があることが示されました。それにはエネルギー、産業、都市・インフラや土地利用の分野で、急速で広範囲に及ぶ脱炭素化へのシステム移行の必要性が共有されたのです。

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SDGsやパリ協定がめざす気候変動への取り組みは、すでに各国で始まっています。気候変動対策は、「緩和」と「適応」を2本柱とし、両方が補完し合うことで、より大きな効果が生じると期待されています。

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